理事長ご挨拶

社会文化を背景とし
地球環境と調和した
よりよい医療への挑戦
河北医療財団 理事長
河北 博文
河北総合病院は1928年5月、創設者・河北眞太郎により、ここ阿佐ヶ谷の地に「河北病院」として開院いたしました。当初は内科・小児科の30床でのスタートでしたが、当時深刻な国民病といわれていた結核への対応をはじめ、地域の医療ニーズに応える形で診療科を拡充し、中央線沿線の中核病院としての歩みを進めてまいりました。
その後、幸いにも太平洋戦争の戦禍を免れ、1945年に河北恵文が海軍より復員し、大学第一内科を経て当院に加わりました。1950年には医療法の医療法人制度制定に合わせ医療法人財団となり、地域の皆さまに支えられながら、社会の近代化にともなって医療の近代化を進め、総合病院となりました。
1948年には民間病院として初めてインターンを引き受け、医師の教育を始め、臨床研修病院となり今に至っています。1971年には看護学校を開設し、医療人材の育成にも尽力してまいりました。1982年、スリッパを揃えることから始めた職員研修は、2000年以降は蓼科の研修施設「N.K.Farm」にて、馬との非言語コミュニケーションを通じた“心のケア”を学ぶ取り組みもおこなってきました。そして、河北家庭医療学センターを始めたのは2006年です。
2020年3月には、杉並区と連携し、区立病院の役割を担うべく、新型コロナウイルス感染症の診療に臨みました。
2025年6月5日、新病院の竣工を祝い、新たなステージへと歩みを進めます。2028年には創立100周年を迎える節目となりますが、私たちはその先の未来に向けて、医療のあり方そのものを見直し、さらに進化させていく所存です。
今後の医療は、
- 集学的(多専門職種が連携し一人の患者を診る)
- 重層的(層を重ねる診療)
- 地域内完結(住み慣れた地域で完結する医療)
- 全体最適(患者を取り巻くすべてを最適化)
といった考え方のもと「人を診る医療」を推めていきたいと考え、「その人らしく生きることを支える医療」に一層取り組んで参ります。その人らしく生きる医療の最期に「その人らしく亡くなる」ことも含みます。私たちは、河北医療財団全体として、単に病気を治すのではなく、その人の生き方に寄り添う医療を実現したいと考えています。
また、医療に大切なことは、身体的なことだけではなく現代社会においてとても大切な「心のケア」にも注力しており、当院では「心のケアセンター」があります。高度経済成長の結果でもあり、SNSでの人間のつながりなどに影響されている家族のあり方や友人との関係が変化しつつある今だからこそ、医療は“こころ”にも目を向けなければならないと考えています。
1986年に定めた普遍的理念「社会文化を背景とし 地球環境と調和した よりよい医療への挑戦」を基軸に、これからも職員一同、地域に根ざした誠実な医療を提供し続けてまいります。今後とも、変わらぬご支援とご理解を賜りますようお願い申し上げます。
現職
- 社会医療法人 河北医療財団
理事長(1988年10月31日~) - 公益財団法人 日本医療機能評価機構
理事長(2016年6月〜) - 一般社団法人 東京都病院協会
名誉会長(2019年6月~) - 東京大学大学院医学系研究科
講師(1991年10月~) - 京都大学大学院 医学研究科
講師(2000年10月~) - 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科
講師(2005年4月~)
学歴
- 1977年3月 慶應義塾大学医学部卒業
- 1983年8月 シカゴ大学大学院ビジネススクール修了
- 1984年3月 慶應義塾大学医学部大学院博士課程修了(病理学)
学歴
- 社団法人日本病院会 副会長
- 老人保健審議会委員
- 医療保険審議会委員
- 規制改革委員会委員 などを歴任
表彰
- 2006年2月8日 渋沢栄一賞受賞
院長ご挨拶

353床の新たな挑戦、
質の高い医療を地域に
河北総合病院 院長
鎌田 孝一
みなさんこんにちは。河北総合病院院長の鎌田孝一です。
河北総合病院は創立97年の地域医療支援病院です。もともと中央線阿佐ケ谷駅から徒歩5分のよい立地にありましたが、一番古い建物が築約70年と老朽化を否定できなくなりました。幸い、現病院のすぐ横(さらに阿佐ケ谷駅寄り)に移転場所が確保でき、新たな拠点として地上9階建ての新病院を2025年7月1日に開院いたしました。旧河北総合病院および分院の機能を集約し、353床の急性期病院に変わりました。また、現在高円寺にある河北健診クリニックも2026年1月(予定)に新病院の9階に移転するため、包括的に健診、診療が受けられる環境になります。
新病院の一般外来の設備面においては、病院の天井が高くなり、またカフェが入店することで快適な空間を提供できるだけでなく、多くのモニターを設置し、診療の待ち時間や順番を患者さんにわかりやすく表示できるようになりました。がん診療に関しては抗がん剤治療をおこなう化学療法室が12室と倍増し、放射線治療の機器も最新鋭のものを導入することで地域のがん治療を地域で完結できる体制が整っています。
入院環境では、病棟のセキュリティーは最新のものを用意し、全ベッドがIC化したスマートベッドとなっています。看護体制は、新看護提供方式を採用し、より患者さんの近くで看護提供ができるようになります。患者さんに寄り添う時間が増えることになり、恕(おもいやり)の看護という当院理念の実現に向けた取り組みになります。
このように、正しい知識と経験を兼ね備えた医療スタッフの充実と患者さんにとって心地よいホスピタリティを提供することで、地域の皆さまの健康と医療に貢献していきます。
これからも地域の皆さまのご期待に応えられるよう、職員一同、誠心誠意努力してまいります。
どうぞ、末永くご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
資格
- 日本整形外科学会専門医
- 日本整形外科学会スポーツ医
- 日本整形外科学会リウマチ医
- 日本体育協会公認スポーツドクター
- 身体障がい者福祉法15条指定医
略歴
- 医学博士
- 順天堂大学 整形外科学教室 非常勤講師
- 2009年
- 順天堂大学練馬病院
整形外科准教授
- 2018年
- 河北総合病院
副院長/整形外科 主任部長/手術部部長
- 2019年
- 河北総合病院
整形外科 主任部長/手術部部長
- 2024年
- 河北総合病院
院長/整形外科 主任部長